自分好みの”コート”を誂える
雪が積もることもありつつ毎日のように凍えていた日々から、段々と春らしい気候の日も増えて参りました。
着物は季節を先どりするもの。そろそろ桜の柄も活躍しそうですね。
卒業式や入学式でお着物をお召しになる方、なった方もいらっしゃることと思います。
本物のお花が咲くころには主役をそちらに譲るのがセオリーですが、春の門出を祝う意味も込めて、日本の花、国花である桜柄を身に纏うのもコーディネートのひとつにいかがでしょうか。
さて、そんなお外の行事の際や、室内でも会場に向かうまでの間に、一枚羽織って肌寒さの残る季節の防寒になったりお着物や帯を塵や汚れから守ったりしてくれるのが羽織やコートです。
お着物や羽織は一定の形でのお仕立てになりますが、コートは衿の種類などお選びいただくことができます。
前置きが長くなりましたが、今回はそんなコートのお仕立てがちょっと楽しくなるような、注目ポイントをお伝えいたします。
~衿の形を愉しむ~
まずはぱっとみてお仕立て方の違いが分かりやすい、衿の形からご紹介いたします。
〈定番〉

コートの衿の形として一番に思いつかれる方も多いのではないかと思うのがこちらの写真の道行衿。
衿部分は四角の形になっており、前はボタンで留めるタイプです。
そのほか衿が裾まで続き、紐で前を留めるタイプの道中衿や、立褄(着物でいう衽の部分)がある、こちらも紐で前を留めるタイプのきもの衿(下部写真)でのお仕立てを承ることも多いです。

〈変わり衿〉

こちらの写真の衿たち、初めてご覧になる形もあるのではないでしょうか。
ご紹介させていただいたのはすべてではありませんし、ひとくちに衿の形を語っても、長さや太さ様々に調整することも可能でございます。コートの衿の形は実はたくさんあるのです。
これらの衿、滑らかな曲線の部分がありますね。
このような「変わり衿」と呼ばれるものは、着物では珍しく、型紙を用いてお仕立てするものも多くございます。お洋服のようなお仕立てになるからか、おしゃれな雰囲気が漂うような気がいたします。
フォーマルなお着物には、定番衿の道行コートや道中コートを合わせていただく事が多いですが、コートはお外で羽織るもので室内に入るときには脱いでしまうもの。
そこまで格式張らずに着ていただけるのもコートの魅力のひとつではないかと思います。
~コート紐を愉しむ~
道中衿やきもの衿など、前をボタンで留めるタイプでないものは、コート紐をつけて結んでいただきます。
コート紐は生地から共紐としてお仕立てすることもできますし、組紐等をつけてお仕立てすることもできます。
また、ここでもひとつ工夫できるのが紐の頭の形。

梅や菊、桔梗などのお花柄もあれば、リボンにしたりあえてシンプルにしたり。お仕立てのできる範囲にはなりますが、ご自身のお好みに合わせてコート紐の形をお選びいただくことができます。
先ほどきもの衿でご紹介したコートは「双葉と菊」の組紐をつけております。左右で違う形にするのもおしゃれですね。

さて、こちらのきもの衿のコート、透け感のあるうすものコートです。
毎年2月から3月に発表させていただいておりますうすものコートの生地。今年も店頭に並びましたので、最後にこちらをご紹介させていただきます。
~うすものコートを愉しむ~

「コート」というと防寒のために羽織るイメージがぱっとでてきますが、こちらのうすものコートは着物や帯を塵や汚れから守るためのもの。気候にもよりますが、4月中旬から9月下旬にかけてお召しいただけます。

お写真でご紹介しておりますのは、「グリスターコート」や「レースコート」と呼ばれるうすものの生地。
昨年のブログやInstagramでもご紹介させていただいておりますので詳しい説明はそちらにまかせて、ここでもお仕立ての観点からのポイントをひとつ。
うすものコートは、その透け感が涼やかに見えるのが特徴のひとつです。
けれど上前と下前を合わせると生地が重なるように、コートの色も少し濃く見えてしまうのが避けられない箇所がございます。
ですので「一枚仕立て」または「単衣仕立て」といって、お仕立ての際できるだけ生地を重ねたり折り返したりする部分が少ないようにお仕立てしております。

バチ衿にされる場合など、どうしても生地を二重にして仕立てざるを得ないところはありますが、最小限にとどめて暑さもできるだけ軽減されるように仕立ての工夫がなされているのです。
うすものコート自体の重なりが少ないと、下にお召しになっている帯や着物も綺麗に透けて見えて、色の重なりを深くお楽しみいただけるのではないかと思います。
自分好みにアレンジできるコート。お仕立ての際には是非ご自身が気に入った形で、コート紐が必要な場合は頭の形にもこだわってお考えになるのはいかがでしょうか。
今回はコートのお仕立てにあたっての着目ポイントをご紹介させていただきましたが、以前のブログでもコートの種類など、より幅広くお話しさせていただいておりますので、よろしければこちらもご参照くださいませ。
ぜひ、コートや羽織も含めてお着物のコーディネートを、お着物でのお出かけをお楽しみいただけますと幸いです。
どのようなものがご自身に、お持ちのお着物や帯に合うかなど、ご不明点やご相談がありましたらどうぞお気軽にお尋ねくださいませ。
本店営業・久保田真帆
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