きものを愉しむ

2022/10/30

肌寒くなる季節に気になるアイテム~コートのご紹介~

イチョウの葉も黄金色に変わりはじめました。
いつもご覧いただき誠にありがとうございます。
本店・営業の大西でございます。

日に日に肌寒くなってまいりました。ということで…コートが活躍する季節です。
いつもの装いに「プラス」、お召しになる楽しみが増えることと思います。
きもののように何着もお持ちになるものではないので、ぜひお気に入りのコートを見つけていただきたいものでございます。

(コートの種類:雨コート / 衿の種類:道行衿)

 

【なぜコートを着るの?】

最も一般的な目的は、防寒。
ですが後ほどご紹介いたしますように、お生地の種類や用途により目的は様々でございます。
雨よけ、塵よけ…大切なきものと帯を守る大事な役割もコートにはございます。

例えば電車やバス、大勢のお方がおられる場所へお出かけなさる際に、
きものと帯がさらされていますと汚れたり帯の糸をひっかけたりしてしまう恐れがございます。
そうした心配もコートをお召しになっていることで解消することができます。


【いつコートを着るの?】

コートの着用時期について、一般的な袷(あわせ)仕立のコートですと、
もみじが色づき始めた頃から、桜が咲くころまで」などと表現されます。

一方で実は、コートの素材を工夫すれば一年中お召しになれるものなのです。
以下にまとめてみましたので、どうぞ最後までお目通しいただけますと幸いでございます。


【コートにはどんな種類があるの?】

まず、コートをお仕立ていただく際は、
絵羽になっている生地(きものに仮仕立てされている状態) か 反物からお仕立ていただく二種類がございます。
反物は「羽尺(はじゃく)」と呼ばれるコート・羽織用の反物だけでなく、きもの用の反物(小紋や御召等々)からもお作りいただけます。

<袷(あわせ)>

裏地をつけた最も一般的なコートでございます。
ご着用の時期の目安は、11月~3月頃。

前述いたしましたように絵羽のもの、反物からお作りになるものがあり、たくさんの生地の種類からお選びいただけることが魅力です。

また、「肩裏(かたうら)」「羽裏(はうら)」と呼ばれる裏地選びが楽しめることも特徴の一つ。
お召しになっている際は見えませんが、脱がれる時にちらっと見える個性。
自分だけが知っている、おしゃれな世界がそこにございます。

<単衣>

こちらは裏地のない単衣仕立のコート。
着用時期の目安としては、4月や10月など、季節の変わり目にお召しいただきます。
近年では社内や室内が温かいこともあり、お客様のお好みによっては、長い期間単衣コートをお召しになるお方も。

単衣用のお生地はもちろん、袷のお生地(一部除く)でも、お作りいただけますが、
あまり薄い生地では、お召しになった際にふわふわと浮いたような印象になりますので、生地選びが大切です。

<薄物>

絽・紗・羅など夏のお生地に加え、レースの生地もございます。
基本的には透け感のあるお生地でございますので、中のきものや帯も透けて見えます。
その色のコントラストが薄物コートの楽しいところ。
その透けにより、涼しく爽やかな雰囲気を演出することもできます。

夏の暑い日でもお召しいただくことで、塵よけとしてきものを守ってくれます。
お出かけの際に一枚持っておきたいものでございます。

<雨コート>

名前の通り、雨天時にお召しいただくものです。
防水加工が施されており、水をはじいてくれます。
「雨なので、きものでお出かけするのは、やめておこう」ではなく、
「雨コートがあるから大丈夫!」と、
雨の日でもきものライフをお楽しみいただける、頼れるアイテムです。

<防寒>

真冬の寒い時、袷コートでももちろん大丈夫でございますが、更に暖かいお生地もおすすめでございます。
素材といたしましては、ビロード・カシミヤ・モヘアなどが代表的です。
あたたかな素材の雰囲気が季節感を演出いたします。


【具体的にどのように探せばよいの?】

コートを構成するものは二つ。
表地(実際にコートとなる絵羽や反物)と裏地(羽裏)でございます。

・表地
絵羽になっているものは特にお考えいただく必要はございませんが、
反物からお選びいただく時には、できるだけコートに適した生地選び大切です。
あまり薄い生地ではなく、ある程度の厚みがある生地の方が「ふわふわ」となりにくく、
畳んだ時などシワも付きにくいのでおすすめでございます。

・裏地
種類を豊富に取り揃えておりますので、お好きなものをお選びくださいませ。
表の柄にちなんだもの、色合わせを考えながら、裏地を探すひと時は誂えならではの醍醐味です。

以上、コートについてのお話でございました。

まず一枚誂えてみたいけど…というお方には、「袷コート」はいかがでしょうか。
袷コートは最も代表的で活躍の場が多く、便利です。
朝晩の冷え込みが気になるこの季節のお出掛けにとても重宝いたします。

「どんなものがあるのかな」という下見や
「母のものがたんすにあるけれど、今も着れるものかしら」とご相談も、どうぞお気軽にご来店、お問い合わせくださいませ。

~~~~~ちょこっと 役に立つ おまけ~~~~~

【コートと羽織のちがいって?】

用途としての大きな違いは、

・コートはあくまでも道中で着用するもの。
 「室内では脱ぐもの」と覚えてください。

・羽織は道中はもちろん、室内でもお召しいただけます。

そして、見た目の大きな違いとして、

・羽織は…羽織紐が付いていること。羽織の形の特徴から、帯が見えるということ。
 「羽織+羽織紐+きもの+帯」のコーディネートをお楽しみいただけます。

・コートは…羽織紐はなく、「道行衿」と呼ばれる四角い衿にお仕立てすることが最も多くございます。
 コートは前面が閉じられたお仕立てになりますので、帯は見えなくなります。

洋服に例えますと、羽織はカーディガン、コートはその名の通りコート。
室内ではコートを脱がなくてはならないこともご理解いただきやすいでしょうか。
今は暖房設備も多くあまり見られませんが、羽織の上にコート(=洋服の感覚では、カーディガンの上にコート)をお召しになるスタイルもあったようでございます。

本店営業・大西 絢子

京都・銀座・名古屋にて呉服の専門店として商いをする「京ごふくゑり善」の代表取締役社長として働く「亀井彬」です。
日本が世界に誇るべき文化である着物の奥深い世界を少しでも多くの方にお伝えできればと思い、日々の仕事を通して感じることを綴っていきます。