きものを愉しむ

2025/11/08

「お出かけ着」としての”小紋”~「きものの日」にちなんで~

段々と空気が冷たくなり、きもののあたたかみが嬉しく感じる季節となりました。
いつもご覧いただき誠にありがとうございます。
本店・営業の久保田でございます。

さて皆様、突然ですが11月15日は何の日かご存知でしょうか?

…そうです、きものの日です!

 

~きものの日とは~
「きものの日」とは昭和41年に結成された全日本きもの振興会により制定されました。

全日本きもの振興会のサイトによりますと、制定のきっかけは昭和39年の東京オリンピックに訪れた世界各国の方々から、日本の民族衣装であるはずなのにきもの姿の方が少ないとの声が上がったことによるそうです。

11月15日は七五三のお詣りをされる方も多くいらっしゃいますよね。
もとは旧暦の11月が収穫を終えて実りを感謝する月、15日は満月で吉日にあたることから、氏神様への感謝も兼ねてこの日にお詣りをしていたそうです。
その七五三にもちなんで、日本の民族衣装であるきもののシンボルとなる日として、「きものの日」にはきものの普及と振興を図ったイベントなどが各地で行われております。

 

そのような「きものの日」、11月15日はお着物に袖を通してみてはいかがでしょうか。
目的の場所が無くても、お着物姿でゆっくりと歩いていると、気になるカフェを見つけたり、気になっていた美術館や博物館を思い出したり…なんてこともあるかもしれません。

「普段のお出かけ用」のお着物といえば、【】や【小紋】があげられます。
以前、初めてのお着物としても小紋をおすすめさせていただきました。
そのときは、帯合わせもしやすく少し改まったお席にもお召しいただける「飛び柄小紋」をご紹介させていただきましたが、今回は「お出かけ着としての小紋」にフォーカスをあててみようと思います。

 

~おしゃれ着としての飛び柄小紋~
飛び柄小紋コーディネート

まずは飛び柄の小紋でもカジュアルな場面でのコーディネートのご紹介です。

ピアノにトランペットなどの数々の楽器、さらに音符の飛んだ小紋。
「糸遊び」と題した京友禅染作家、上村米重さんの染帯を合わせました。
音楽に合わせて糸が弾んでいるような、動きのあるコーディネートをイメージしております。
ちょっとした音楽会などにもおすすめのコーディネートです。

 

~カジュアルにふりきる総柄小紋~
続いては「総柄」と呼ばれる小紋のご紹介です。

〈総柄小紋とは〉
点々とお柄のある飛び柄小紋に対して、生地全体にお柄のある小紋を「総柄小紋」と呼んでおります。
その中でも総柄小紋は、線や図形など幾何学的な模様を繰り返したお柄と、お花や生き物などの具体的なものを全体に散りばめたお柄に大きく分かれると思っております。
帯合わせによっては準フォーマルなお召し物にもなる飛び柄小紋に対して、総柄小紋はいずれの柄も普段用のお着物としてお召しいただけます。

飛び柄の小紋に対して無地場の少なくなる総柄小紋。コーディネートを難しく感じる方もいらっしゃるかもしれません。私も正直なところ、今回コーディネートを選ぶにあたってとても悩みました…が、悩み、先輩に話を聞いてまわったからこそ見えてきたポイントもございますので、そちらも含めて総柄小紋のコーディネートをご紹介していきます。

 

〈総柄小紋コーディネート―幾何学模様編―〉
幾何学総柄小紋コーディネート

幾何学模様の総柄小紋はお洋服感覚のようなすっきりとした雰囲気がありますので、具体的なお柄と比べると、多少帯合わせもしやすいのではないかと思います。

黄とグレーの四角が並ぶ総柄小紋に、どことなく異国情緒も漂うような、葉っぱの柄の袋なごや帯を合わせました。
着物と帯それぞれが持つ雰囲気、さらにお着物の黄色と帯の黄色が調和して、上品で爽やかな色合いとなっております。

ゑり善では、お着物と帯は異なる柄で合わせることをおすすめしておりますので、幾何学的な柄のお着物には植物の柄の帯も合うと思います。

 

〈総柄小紋コーディネート―植物編―〉
植物総柄小紋コーディネート

続いては大胆に植物の描かれた総柄小紋のコーディネートをご紹介いたします。

小紋は、仕立て上がったときにすべての柄が上向きになるように作られている付下げや付下げ小紋とは異なり、下向きになる部分や柄が途切れてしまう部分がございます。
それでもこれだけ華やかに柄が描かれていると、仕立て上がったときにお着物としての格も少し上がるようです。
ということで、帯は少しフォーマル感のあるなごや帯を。勝山健史さんの作品です。

また、お着物の柄がパッと目をひく印象ですので、帯はすっきりと無地に近いものやお太鼓柄、ポイント柄のものをおすすめいたします。

 

今回ご紹介した小紋には、染帯袋なごや帯なごや帯と別々の種類の帯を合わせております。
それぞれお柄の雰囲気にはよりますが、幅広く帯合わせが出来るのも小紋の楽しさのひとつではないかと思います。

 

きものの日にお着物を着たいけれどやっぱり着ていく場所が思いつかない…着られるきものがない…という方に、朗報です!

ちょうど11月15日に京都文化博物館にて『蔵ざらえ』を開催いたします!

お客様への感謝を込めて、お利口なお値段で様々な種類のお着物や帯を揃えております。
さらに、今回は付下げと小紋の半額コーナーがございますので、フォーマルなお着物がご入用の方にも、お出かけ用のお着物をお探しの方にも、ぜひ足をお運びいただきたい企画となっております。

きものの日にお着物でゑり善の蔵ざらえへ。または、来年のきものの日に向けてのお着物を探してみるのはいかがでしょうか。
15日、16日の2日間の開催となりますので、皆様のご来場を心よりお待ち申し上げます。

 

~参考~
一般社団法人 全日本きもの振興会“11月15日はきものの日 特設サイト
https://www.kimononohi.org/

本店営業・久保田真帆

京都・銀座・名古屋にて呉服の専門店として商いをする「京ごふくゑり善」代表取締役社長として働く「亀井彬」と京都で営業として働く「久保田真帆」 二人が日々の仕事を通して感じることを綴っていきます。
日本が世界に誇るべき文化である着物の奥深い世界を少しでも多くの方にお伝えできましたら幸いです。