きものを愉しむ

2022/09/25

七五三のいろは ~七つ詣り(女の子)~

                    

いつもご覧いただき誠にありがとうございます。
前回に引き続き、今回は女の子の「七つ詣り」についてご紹介いたします。

三つ詣りの可愛らしい雰囲気とは異なり、お体が大きくなった分、帯が大人のようになり、帯〆や帯上などで豪華絢爛に装います。
髪型のアレンジの幅も広がり、ご本人様にとってもワクワクするご経験となることでございましょう。

三つ詣りよりも必要な小物の数が多くなり、志古貴(しごき)や筥迫(はこせこ)など、普段大人の方もあまりお耳にされないお言葉がございます。このブログを通してイメージを広げて頂けましたら幸いでございます。

お仕立方法などは一つではございませんので、あくまでも一例ということでご参考になさってくださいませ。

【必要なもの】

1.  きもの
2.  丈二帯
3.  帯上
4.  志古貴(しごき)
5.  帯締
6.  筥迫(はこせこ)
7.  末広
8.  袖襦袢
9.  裾除け
10.  草履
11.  足袋
12.  バッグ
13.  髪飾り
14.  腰紐
15.  伊達締め
16.  帯板


【それぞれの詳しい解説】

きもの ●

「四つ身」と呼ばれる七つ詣り用の絵羽のきものや、可愛らしい反物からお作りになります。
全体に柄がつながる”絵羽模様”と呼ばれるのお着物は、お召しになられた際、華やかさが際立つように柄付けされており、さりげなく格調がのぞきます。
反物からお作りするお着物は大人でいう”小紋”と同じで、かわいらしい柄が全体に配置され、お子様らしい楽しい印象になります。

そのご年齢ならではの、愛らしい色や柄で、染め上げたお着物は見ているだけでも心躍ります。
いずれの場合も、少しお袖の丈を長く作ることができるように作られております。

● 丈二帯 ●

長さが1丈2尺あるので丈二帯(じょうにおび)と呼ばれます。
お子様がお締めになっても重くならないように、裏地がついておりません。

白や黒の定番の色に加えて、赤や緑、水色などの明るい色合いがあるのが特徴です。
柄も、七宝や立涌などお子様の成長を祝ったおめでたいものや、毬や玩具など愛らしいものが揃います。

仕立に関しては、お着付けが楽になるよう、結んだ状態の帯の形にお仕立てする「結び帯仕立」も人気がございます。
結び帯仕立てにした後も、結んだ帯をほどいて、裏地をつけることで、袋帯の形に仕立替えすることもできます。
お子様のご成長とともに長くお使いいただけるのも丈二帯の魅力もございます。

● 帯上 ●

ふっくらとしたボリュームが出る総絞りの帯上が人気がございます。
また、お召しになった時のちょっとしたポイントになるよう、鞠などの刺繍入りも帯上もございます。
まだ小さいお体ですので、大人のお方の長さより若干短くいたしております。

● 志古貴(しごき) ●

普通の帯のように縫うことはせず、ある一定の幅の布をしごいて締める「扱帯(しごきおび)」に由来します。
江戸時代、女性はきものをからげるために、縮緬や綸子の志古貴を使っていたそうです。
今のようなおはしょりの形式が整うにつれ、からげする役割は次第に腰ひもにかわっていき、志古貴は装飾用となりました。
現在は花嫁衣装や七五三の晴れ着の時に使われております。

見た目は、長い帯上のよう。帯の下部に結びます。
帯周りの「帯上」、「帯〆」、「志古貴」をどのような色合わせにするのか。
この小物あわせも七つ詣りのコーディネートの楽しみの一つです。

● 帯締 ●

「丸ぐけ」と呼ばれる、真綿の芯を入れたものを中心にご用意しております。
ぷっくらした風合いが特徴で、刺繍があしらわれたり、細部にまで可愛らしさが溢れます。

● 筥迫(はこせこ) ●

もとは武家の女性が懐に入れて持つ装身具でした。
懐にいれる「狭い筥(はこ)」という意味からついた名前とされております。
紙や櫛、楊枝や小銭などを入れるものだったようですが、
現在ではお着物を彩る装飾品としての意味合いが大きくなっております。
びら簪(かんざし)をよばれる筥迫専用の簪を差し込んで使います。

● 末広 ●

お子様の手の大きさに合わせた小さなものをご用意いたしております。
ご着用時には帯〆と帯の間に挟みます。

※ 筥迫セット ※
「帯締」と「筥迫」、「末広」をセットとしてご用意したものもございます。

● 袖襦袢(半襦袢) ●

三つ詣り同様に、あまり重くならないように、ゑり善では袖襦袢(長さは上半身くらい)をおすすめすることが多いです。
胴部分はさらしになっており、袖部分は可愛らしいお柄やお色の生地を取り付けます。

袖襦袢の下には普段お洋服の時にお召しになられている肌着をお召しください。
着装後に着物の下から見えないように、肌着は襟もとが空いたものを選ばれるのがオススメです。

コーディネートのポイントは2つ。
1つ目が着物の袖口と振りからちらっと見える袖の色合い。
2つ目が袖襦袢に取り付ける半襟の色柄です。

お着物のご様子に合わせてコーディネートをお愉しみください。

● 裾除け ●

下半身には袖襦袢と同じ色の裾除けをよくお作りいたします。
ウエスト部分はゴムになっており、スカートのようにお使いいただきます。
お子様の履き心地も良いように工夫いたしております。

● 草履 ●

きものに合う草履台と鼻緒をお選びいただきます。
鼻緒はきものの色に合わせても良し、ポイントで違う色を持ってきても良し。
「こうでなくてはいけない」というのはございませんので、お嬢様とお好みを見つけてくださいませ。

● 足袋 ●

ストレッチのタイプがございます。
お子様でも楽に靴下の感覚でお履きいただけます。

バッグ ●

三つ詣り用に比べると、やや大きめで、持ち手のしっかりしたバッグになります。
鮮やかな色合いのものも多く、お着物や帯の華やかさを引き立てます。

● 髪飾り ●

日本髪風など、アップスタイルが叶う七つ詣り。
ゑり善でも七五三用の髪飾りをご準備いたしております。

● 腰紐 ●

伊達締め ●

● 帯板 ●

必要な本数、枚数など、着付けされる方によって若干異なる場合がございます。
事前に美容院などへご確認いただくことをお勧めいたします。


各店によっても少し異なりますが、毎年だいたい7月中旬頃から七五三のお品を揃え始めます。
お仕立てのお日にちも考慮いたしますと、9月頃までにお品を決めていただくケースが多いようです。

まだお悩みやご検討中のお客様がおられましたら、
お仕立てのお日にち等、まずはお電話でもお気軽にお問い合わせいただけましたらと存じます。

4回にわたりお子様のお祝い着のご紹介をしてまいりましたが、いかがでしたでしょうか。
「七五三って何を準備すればいいの?」
という最初の第一歩を踏み出していただく手助けになっておりましたら大変嬉しく存じます。

「私が子どもの時に、使ったものが家にあるけど、今も使えるのかな?」
など、どんなに小さなご相談でも、どうぞお気軽にお問い合わせくださいませ。

最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。

京都・銀座・名古屋にて呉服の専門店として商いをする「京ごふくゑり善」の代表取締役社長として働く「亀井彬」です。
日本が世界に誇るべき文化である着物の奥深い世界を少しでも多くの方にお伝えできればと思い、日々の仕事を通して感じることを綴っていきます。