着物の「価値」とは

2019年12月27日

おはようございます。ゑり善の専務取締役の亀井彬です。
本日もブログをご覧いただきまして、誠にありがとうございます。

今日27日が仕事納めというお方も多いかと思います。一年間のお勤め本当にお疲れ様でございました。

さて、年末になるとお着物のお納めが多くなってくるとのお話を先日ブログで書かせていただきました。
そんな中、先日あるお客様へ、お納めと合わせて、お手持ちのお着物の整理をさせていただく機会がございましたので、ご紹介させていただきます。

タイトルは、着物の「価値」についてです。
ここ数日ずっと考えてきたことで、長文になり、まとまりきっていないのですが、ご覧いただけましたら幸いでございます。


こちらのお客様は、お母様とお嬢様のお二人でいつもお出掛けくださるお客様で、お付き合いを始めて4年半ほど。
お仕事で非常にご活躍されているお嬢様は、お勤めの会社の新年会で、いつも大変素敵にお着物をお召しくださっております。
一方、お母様はお仕事をずっとされてきたこともあり、これまであまりお着物はお召しになられておりませんでした。

ただ、お母様のお母様(おばあ様)は、非常に腕のよい仕立て屋さんだったようで、ご自宅にはおばあ様が仕立てなさったお着物がいくつもあるとのお話を伺っておりました。

箪笥の中で眠っているのではもったいない!一緒に着物を見てみませんか。
こうした気持ちから今回のお着物の整理をさせていただくことになりました。

お嬢様のお仕事がお休みの日に、朝からご自宅へお伺い致しました。
お母様とお嬢様がいつものように素敵な笑顔でお出迎えしてくださいます。

まずは、箪笥の中に入っているお着物を出していただきます。「こんなにあったの?」とお嬢様も驚き。
出していただいたお着物のたとう紙を一枚ずつ開けさせていただきます。

心配していた着物の保存状態は良好で、シミやカビはほとんどありませんでした。
着物の保管には、箪笥を置いておられる環境が非常に大切なのですが、こちらのお客様の場合は、その環境が良かったのだと思います。
その代わり躾(しつけ)がついた状態のお着物が多く、やはりお話の通り、ほとんどお召しになられてこなかったことがわかります。

拝見していて分かったことは、箪笥の中にあるお着物のほとんどが、おばあ様がおつくりになられたお母様用のご寸法のお着物だったこと。
そして、いずれのお着物も、おばあ様のお仕立ての技が垣間見える素敵なお着物でした。

「おはあちゃん」すごかったんやな、とお嬢様がお着物を見ながら一言。
これまでお着物の仕立てをされていたことはご存じだったようですが、実際にどのようなことをされていたのかは見たことがなかったとのことです。

箪笥からは喪服も見つかりました。
普段の生活では意識することのない家紋ですが、着物では今も大切な要素の一つ。

お着物を通して、それぞれのご先祖様のことを思い出していただくひと時にもなりました。

お母様とお嬢様は身長差もあり、残念ながらそのままではお召しいただくことはできません。
縫い込みも少ないため、仕立て直して着物としてお譲りいただけるものは一部でした。
それでも、お母様がこれから楽しんでいただくにはぴったりです。これが年月が経っても形が大きく変わらない着物の魅力の1つです。

お着物を3人で見ているうちに、自然と「来年のお正月には着物で初詣に行こう!」というお声が。
お母様もその気になってこられました。この着物に、このコートを着て?帯はこれでいきましょうか。
着物談義が盛り上がります。

そうこうしているうちに、日は暮れはじめてきたので、畳みなおして、たとう紙を交換して、箪笥に整理しながら入れていきます。
分かりやすいように、出しやすいように、整理しやすいように、お客様とお話をしながら箪笥に入れていきます

「今まで気にしていたのでスッキリしました!」
「まずはお正月着てみますね」

朝よりもお母様とお嬢様にとって、着物との距離が近くなったことを実感して帰路につきました。


最近では着物の買取に関して、TVやラジオのCMで耳にすることが増えました。
多くのお方がお着物の処分に悩んでおられることが、このことからもわかります。

「家の場所をとり、処分に困っているものを引き取ってもらえる」
ということはとても大きな意味があると思いますし、社会からも求められているサービスであることは間違いありません。

ただ、着物に携わるものとして、声を大にして伝えたいことは、
査定で出される値段は、「着物の本来の価値」ではないということです!

その値段はあくまでも、「買取から再販売に至るルートの中でつけられる金額」であって、その着物の絶対的な価値ではありません。

着物の価値は、皆様それぞれの異なる価値観によってつけられます。
作り手の技術とセンスのこもった美術品としての価値、手仕事の価値、着て楽しむ価値、自分なりのコーディネートで自己表現ができる価値、ハレの日をより華やいだ気持ちしてくれる価値 などなど多岐にわたります。

そして、ご家族やお譲りになられた方の想いをも、引き継いでお召しいただける価値。
ここには、お値段では測れないとてもつもなく大きな価値があります。

  • お一人お一人のお着物の本来の価値を知っていただくこと
  • そしてお客様が着物を楽しむ中で、その価値を高めていただくお手伝いをすること

この大切な役割を私達が担っていることを常に意識して、今後も社業に精進してまいります!

皆さんにとっての着物の価値はなんですか。

コメント

  1.   おばあさまお仕立ての お着物整理 すてきなお話ですね。
     きものが日常着だった時代の母の残したものは僅かですが 自分で仕立てた糸目に 母の気性(お おざっぱでした)が思いだされて 袖を通す度 笑いがこぼれます。

      きものは お蚕さん、職人さん、呉服店の方 多くの方々の思いがこもっていて、身に纏う喜びを
     着る度に頂ける気がします。 フリースとデニムでは 決して得られない癒し・・森暮らしの何よりの
     非日常です。 大切に楽しみ続けられたら幸せです。

    1. >>髙木様
      いつもありがとうございます。

      お母様の気性が思い出されて…ということ、素敵なお話ですね。
      針と糸には、縫手の気持ちが宿るといわれてきたことがよく分かります。

      想いを背負って身にまとう喜び、着物をきるとしゃっきとするのはその為かもしれませんね。
      着物だからこそ、得られる癒しを今後もお伝えしていければと存じます。

  2. 亀井様…
    年末のお忙しいなか
    今日もブログ有難うございます。

    楽しく読ませて頂いています。

    正絹の着物でしたら
    小さなお蚕さんが
    短い一生をかけて繭を作って
    職人の方の手で繭から絹糸ができて
    絹糸から何人もの職人の方々のお陰で
    着物ができ上がっていく…

    感謝して
    着させて頂く
    できるだけ大切に長く
    持ち続けようと思う気持ちになります。

    着物だけでなく
    ハチミツは
    蜜蜂が1ケ月の寿命の間に
    働いて採ってくれたもの。

    切なくなりますが…(笑)

    感謝して大切に持ち続けることが
    価値ある物への恩返しになるのかと
    思っています。

    1. >>依子様
      いつもありがとうございます。

      依子様のおっしゃる「感謝して」という気持ちは本当に大切なことだと気づかされました。
      私もこの世界にはいって、着物がいかに尊いものかを実感することができました。

      ハチミツも1カ月かけてなのですね。
      あまりにも便利になり、簡単に物が手に入るようになってきたことで、感謝する気持ちを持ち続けることが難しくなってきているように感じます。その世界のことをしらなかったら、感謝の気持ちも持ちにくいのかもしれません。

      価値あるものへの恩返し、私自身も大切にしていきたいです。

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