いつも誠にありがとうございます。ゑり善の専務取締役の亀井彬でございます。
新型コロナウイルスによる影響を受けておられる、皆様におかれましては、未だ甚大な影響がおありのことと、心からお見舞い申し上げます。何かとご心労が絶えない中で、季節の変わり目でもあり、気温差も激しいこの時期ですので、どうかお体には十分に気を付けていただきたく存じます。
さて、ご存じの通り、京都の「緊急事態宣言解除」が昨日発表されました。
4月7日に緊急事態宣言が発表されてから、約1か月半。
この間、京都の街は静寂につつまれ、本当に寂しいひと時でした。
皆様一人ひとりの努力の甲斐もあり、この日を迎えられたことを心から嬉しく思います。
本日より、新型コロナウイルスの感染拡大に今まで以上に注意をしながら、企業活動の再開にむけて、アクセルを踏み込んでまいります。第2波、第3波も心配されておりますので、お客様からのご協力もいただきながら、呉服店における「新しい生活様式」を模索してまいります。
弊社は、京都の四条河原町、東京は銀座、愛知は八事に店舗を構えております。
各店それぞれの街のお好みに合わせてお品物を数多く取り揃えております。
そのどれもが、仕立て上がりの状態ではなく、これからお客様にピッタリの寸法に仕立てるための状態で陳列を行っております。
お客様にお袖を通していただく時に、最高のコンディションにあることを大切にしていることが理由なのですが、半面、お洋服などと比べると、お客様がご自由に広げたり、確認しにくいのが問題ともいえます。
また、外商と呼ばれるお商売も致しております。
お客様のご自宅や、ご指定の場所で、お客様好みのお着物を厳選してご覧いただけるサービスでございます。
店頭にお越しいただくことにくらべると、ご覧いただける商品の数は必然的に少なくはなりますが、外出することなく、お好みのお時間に、ゆったりとお着物に向き合っていただくことができます。
お着物ひとつひとつの魅力をお伝えすることはもちろん、
お客様が「お着物を装うという文化を発信すること」が私達の使命です。
お手持のお着物や帯を眺めながら、一緒にお着物を着る日のイメージを膨らませる。
お着物に関するあらゆるご心配事に耳を傾け、できる限り分かりやすく、お手伝いやご提案をさせていただく。
店舗でも外商でも、私達、呉服店が果たすべき役割はここにあります。
お客様お一人お一人が望む形で、安全に、落ち着いて、しっかりと、お着物に向き合っていただけるように、工夫を凝らしてまいりますので、是非お気兼ねなくご相談くださいませ。
新型コロナウイルスの影響で、世界の価値観が大きく変わったといえますが、私の気持ちの中で大きく変わったこと。
それは、『人と会う時間が今まで以上に愛おしいものに感じるようになった』ということです。
これまで、移動の高速化や技術革新のおかげで、
「人とのつながり」は便利になった反面、その価値が薄れていたように感じます。
極端な考えかもいれませんが、新しい生活様式においては、
本当に大切な人と、
本当に大切な時に、
限られた時間しか、
会わなくなるのかもしれません
そうなると、「大切な人と一緒にいるかけがえのない時間」の価値がより一層高まるように思います。
そのかけがえのない時間に、着物はどう寄り添っていけるのか。
日本人が大切にしてきた和服の美は、新しい生活様式でどのような価値を持つのか。
「よそゆき」の楽しみや喜びが、より一層深まるために、着物ができる事とは何か。
社会に対して、着物がどのような価値を生み出せるのか、これからも考え続けてまいります。