《ろうけつ染》高久空·木

高久空木
「染色は工芸であり、工芸は使ってこそ」と考え帯の制作に情熱をそそぎ、「帯の空木」と呼ばれた故・高久空木氏。空木氏の制作する帯は、ろうけつ染のなかでも堰出しという技法を用い、ブラックやマティス、ピカソなどのキュビズムに影響を受けたという色彩感覚とぎりぎりまで簡略化された形で絵画のように描かれています。
色を重ねるのではなく少しずつ異なった色彩を隣り合わせることで、ろうけつ染では難しいとされる色彩の透明感を保っています。重ねた色と色との接点がわずかに滲んだ濃淡のあるやわらかい色使い、堰出しの蝋でくくった縁のくっきりとしたライン。相反する性質の組み合わせが調和して、動きのある表現が生まれています。
空木氏の助手を務め、その作風を受け継いだ娘の高久尚子さんは、父への敬意を込め、まだまだ精進すべきという思いから、「空」と「木」の間に「・」を入れて「高久空·木」と名を継ぎ制作を続けています。

ろうけつ染(堰出し)とは

奈良時代に伝来した模様部分を蝋で防染し染色する伝統的な技法を臈纈(ろうけち)といい、
正倉院には多くの御物が伝えられています。一度は途絶えた技法ですが、明治末期にインドネシアのバティック染の技法を取り入れて再出発しました。
堰出しは、まず模様を囲むように溶かした蝋を布に塗るろう描きをし、次に模様に彩色をします。数回のろう描きと彩色を繰り返して奥行きのある模様を染め上げます。

高久空·木 略歴
1944年(昭和19年) 東京都生まれ
1966年(昭和41年) 女子美術大学洋画科卒
1980年(昭和55年) 第19回日本現代工芸美術展 入選 以降連続入選
1981年(昭和56年) 第13回日展 入選
1986年(昭和61年) 第24回日本染織作品展 入選 以降連続入選
1999年(平成11年) 紺綬褒章受章
2012年(平成24年) 米国サンディエゴ美術館にて「空木・尚子展」開催
2013年(平成25年) 2代目高久空·木を襲名
2016年(平成28年) 紺綬褒章受章