《辻が花》小倉淳史

小倉淳史
小倉淳史氏は、130年以上の歴史をもつ京都の染織工芸を代表する小倉家の5代目。家業の友禅だけでなく絞りを学び、独自の作風で名を成した4代目建亮氏の長男として生まれました。
建亮氏のもとで友禅染・絞り染・辻が花の修行を始めた淳史氏は、重要文化財と染織文化財の復元や再現になんども携わり、さらに現代女性が着用して美しい「着物作り」と、公募展に出品のための「作品創り」との二極面での制作を日々続けています。

辻が花とは

室町時代中期から桃山時代にかけて製作されたと推定されている辻が花は、下絵の線に沿って糸で生地を縫い、絞り、地色を染め、文様を白く残す絞り染めです。最盛期には多色に染め分けた絞りに、墨絵、摺箔、刺繍が施され、豪華なものに発展していきました。
おおらかな絞り染のなかに墨で繊細に描かれた草花には、病葉や虫喰が描かれ、中世の人々の能や茶の湯にみられる幽玄や侘びといった美意識が感じ取れます。
女性や若衆の着物として用いられた辻が花は、やがて成人男性も着用するようになり、戦国武将達の小袖や道服が現存しています。しかし、江戸時代には姿を消し「幻の染」と呼ばれることになります。その後、試行錯誤が繰り返され、昭和末期に現代の辻が花として復活しました。

小倉淳史 略歴
1946年(昭和21年) 京都生まれ
1975年(昭和50年) 第22回日本伝統工芸展 初入選 以降入選多数
1981年(昭和56年) 第2回全国青年伝統工芸展 最高賞
1984年(昭和59年) 徳川家康「亀甲重ね模様辻が花小袖」復元
1988年(昭和63年) 徳川家康「葵紋散し辻が花小袖」「槍梅模様辻が花小袖」復元
1989年(平成元年) 日本工芸会正会員に認定
1993年(平成5年) 第30回日本伝統工芸染織展 日本工芸会賞
浅井長政夫人(お市の方)「段模様肩裾辻が花小袖」再現
1997年(平成9年) 第34回日本伝統工芸染織展 日本経済新聞社賞
1998年(平成10年) 紺綬褒章受章
「藤棚に亀甲つなぎ肩裾模様辻が花小袖」欠損部分を復元
2003年(平成15年) 第32回日本伝統工芸近畿展 京都新聞社賞
2004年(平成16年) 徳川家康「波に兎模様辻が花 羽織」復元
2005年(平成17年) 第39回日本伝統工芸染織展 日本工芸会会長賞
東福門院「立波網目に花丸模様絞り染小袖」再現
2006年(平成18年) 「束熨斗文様振袖」(重要文化財)欠損部分を復元
2009年(平成21年) 第43回日本伝統工芸染織展 日本工芸会賞
徳川家康「辻が花染丁子文道服」(重要文化財)復元
2015年(平成27年) 第49回日本伝統工芸染織展 文部科学大臣賞