《真糊・蒔糊》中川正洋

中川正洋
日本工芸会正会員・中川正洋氏は、日本古来の防染糊である真糊に独自の工夫を加え、糊作りから下絵、糊置き、染め、友禅とすべての工程をほとんど一人で制作されています。
真糊とは、室町・桃山時代にはすでに存在していたとされるでんぷん糊で、もち米粉に糠や石灰などを加えて作られます。
中川氏の作品は、蒔絵のように生地に砂を撒いたような表現の「蒔糊」、模様の部分を生地のまま残して仕上げる「白付糊」など、糊置きを模様として生かす技法を用い、四季折々の美しい自然を、真糊のやわらかで温かみのある線とやさしい色彩で描いています。

蒔糊とは

もち米の糊に亜鉛の粉を混ぜたものを竹の皮に延ばし、よく乾燥させて粒状に砕きます。その粒を濡れた生地の上に撒くと、水分を吸収することで溶けて柔らかくなり、生地に密着して防染の役割を果たします。この作業により、糊の粒の部分だけが染まらず細やかな点描が現れます。
砕いた糊の角張ったままの形と濃淡のない白抜きが蒔糊の特徴です。

中川正洋 略歴
1950年(昭和25年) 兵庫県洲本市生まれ
1975年(昭和50年) 小西寿生氏に日本画を師事
駒井冨二雄氏に糊置、蒔糊を師事
1983年(昭和58年) 第8回新人染織展 意匠賞
1986年(昭和61年) 第31回彩芸展 京都市長賞 以降多数入選
1987年(昭和62年) 第16回日本伝統工芸近畿展 入選 以降入選多数
1993年(平成5年) 第40回日本伝統工芸展 入選 以降入選多数
1999年(平成11年) 日本工芸会正会員に認定
2003年(平成15年) 第32回日本伝統工芸近畿展 日本伝統工芸近畿賞
2004年(平成16年) 第33回日本伝統工芸近畿展 京都府教育委員会教育長賞
2005年(平成17年) 第39回日本伝統工芸染織展 入選 以降入選多数
2008年(平成20年) 2008京都工芸ビエンナーレ 産経新聞社賞
2009年(平成21年) 第31回京都工芸美術作家協会展 奨励賞
2011年(平成23年) 第58回日本伝統工芸展 日本経済新聞社賞