《西陣織》勝山健史

勝山健史
西陣で続く機屋の5代目である勝山健史氏は、古代裂に魅せられ、現代の人々の心を動かす布作りをめざします。
色柄だけでは表現できない質感や美しさを探究して、西陣で手に入るあらゆる糸を試しますが、それらの糸では求める風合いにたどりつけず、納得できる絹糸を求め、養蚕が盛んだった長野県飯島町に工房を設立しました。蚕のえさとなる桑の栽培から始まり、蚕の飼育、糸作りから染め、織り、仕上げまで全ての工程を試行錯誤し、その経験を生かして、しなやかさ、透明感、軽さ、光沢感など絹糸本来のもつ魅力や個性を生かした作品を作っています。
また、着物や帯の制作と並行し、博物館の古代裂修復事業などに携わり、古から学び新しきに挑戦されています。

糸へのこだわり

明治のはじめ頃までは、繭の中の蚕が生きたまま糸を紡ぐ「生繰り」と呼ばれる方法がとられていました。現代では、繭を長く保存し、安定した条件下で生糸の製造が続けられるようにするため、熱風で乾燥させて殺蛹(さつよう)する方法が主流です。
しかし、熱にあたると繭は変性してしまうため、勝山氏の工房では、生繰りによる糸づくりを行っているほか、塩漬け、蒸し、天日乾燥など絹の美しさを損ねない方法で繭を保存しています。保存方法によってその繭からとれる糸の風合いは変化します。絹糸が持つ個々の特徴を最大限に生かし、西陣で代々受け継がれていた織技法を駆使し、今では博物館でなければ見ることのできないような、あたかかみがありながらも品格にあふれた作品を織り上げています。

勝山健史 略歴
1966年(昭和41年) 京都生まれ
1991年(平成3年) 修行期間を経て家業へ
2002年(平成14年) 長野県・飯島町に絹織製作研究所を設立