きものの魅力

多くの日本女性を魅了し続けてきた着物。
しかし、最近では着物に対し「馴染みの薄いもの」「難しいもの」と距離を置いて考えられる方もいらっしゃるようです。
私たちはおしゃれとは本来楽しいものであるはずだと思います。「着物だから特別」と堅苦しく考える必要はありません。着物は今でも私たちの暮らしにしっかり溶け込んでいる生活の一部なのですから。

暮らしに溶け込む着物

機織

着物は非常に細分化された工程を経てでき上がります。魂がこもる貴重なものとして「布」を扱ってきた日本人は、着物に対して特別な思い入れを持っています。
京都の太秦(うずまさ)や東京の砧(きぬた)をはじめ、着物に関わりのある地名が各地に残っています。また、物語の『夕鶴』、唱歌の『紅葉』、あるいは和歌や民謡などには着物に触れているものが数多くあります。そのほか五節句の一つ、7月の七夕は棚機とも記し、神に捧げる神聖な布を織る棚機津女の習俗と中国の牽牛・織女の伝説が結びついたといわれています。
こうしてみると特別な思い入れで大切にされ続けた着物は、現代の暮らしの中にも色々な形で溶け込んでいることがわかります。

季節を楽しむ

染帯
染帯 流水に楓

四季の変化に富む国土に暮らした昔の人たちは、季節の魅力を楽しむため、そしてより快適に過ごすために様々な工夫を重ねてまいりました。こうした楽しみ方や工夫は着物の世界に今も生き続けています。
着物で季節を楽しむには「素材」「色合い」そして「模様」に気を配ることがポイントです。今日の傾向として、春にも秋にも着られる模様を選ばれるケースが多くなっています。しかし、古来より私たちに流れている季節を楽しむ感性を眠らせてしまってはいけません。「春には桜・秋には紅葉」 といったように、短い期間を楽しめる着物でお出かけしてみてはいかがでしょう。自然に触れる機会が少なくなった今日ではなおさらのこと、季節感あふれる素敵な着物姿にうっとりと心惹かれる人も多いはずです。周囲の方を和ませることも、おしゃれの大切な要素だと思います。

模様の謎解き

貝合わせ
貝合わせ

着物に描かれている様々な模様。この中には人々の思いや願いが込められていることがあります。
たとえば礼装用の着物によく見られる「貝合わせ」
これは平安時代に始まる360個の蛤の貝殻の中から対になるものを探し当て、その数を競う遊戯です。他の貝とでは決して完全に合うことのない二枚貝は、昔から夫婦和合の象徴とされてきました。模様をデザインとして見るだけでなく、そこに込められている意味を知ることで、着物への愛着は一段と増してきます。

宝尽くし
宝尽くし

着物や風呂敷などに多く見られる「宝尽くし」の模様は、古くに中国より伝来し日本の風習と融合され現在の形となりました。災厄から身を隠す「隠れ蓑」「隠れ笠」、仏教でいう七つの宝を意匠化した「七宝」、願いを叶えてくれる「打出の小槌」「宝珠」、智恵を授けてくれる書画である「宝巻」、宝の蔵の鍵の「宝鍵(ほうやく)」、貯蓄を表す「分銅」、お香や薬の一種である「丁子(ちょうじ)」など、縁起の良い宝物をちりばめています。